ペインフル

長谷川ヨコイ様

 思えば、前に手紙を送ったのは、Cの命日でした。初めて会った日に、もうCの家に行って、その時カバンに入ってたヨ・ラ・テンゴの『ペインフル』を一緒に聴いた記憶が蘇りました。その時は話が全然噛み合わなかったのに何故かすごく盛り上がって、楽しくて仕方なかったことを覚えています。でも、その後の別れがやって来るまで、我々はずっと噛み合っていなかったように思えました。

 去年連絡が来たのはちょうど今くらいの季節で、やはり会っておくべきだったのかもしれないと、あれからずっと後悔してきました。やっと落ち着いたと思っても、何かの弾みで鋭い痛みがぶりかえすのです。それでも痛みは次第に薄れ、当初の衝撃は少しずつ波のように引いていきます。私が痛みに耐えられないので、それを忘れることを望んでいるからです。
 私には、もう少しだけ強い酒が必要なようでした。どのみち嘘をつくことは容易いのですね。

トーレ・アンドレ・スコット・フロー
2002年5月6日

『長谷川ヨコイ書簡集』198頁